バイヤーコラム
生き生きと健康な人たち
皆さんのキッチンにある酢はどのくらいの大きさの瓶に入ってますか? 僕が妻に聞いたところ、500mlくらいの瓶のものを買っているそうです。その500mlの酢を約1〜2ヶ月で使うみたいです。そう考えると、1ヶ月に食卓にのぼる酢の料理って、ほんの2〜3回のような気がします。

今回、僕は初めて中国へ現地取材へ行きました。行き先は山西省太原市。ここに「千年老陳(らおちん)醋」の元となる老陳醋を製造する工場があるからです。この街で僕が目にしたのは、なんと、バケツくらいの大きさもあるポリ容器で「お酢屋さん」に酢を買い求めに来る人たちです。バケツほどもある量の酢を一体どうやって消費しているのでしょう?
よっぽどこのあたりの人たちは酸っぱい料理を好むのでしょうか? それとも、健康のために毎日酢を飲んでいるのでしょうか? すると、工場の社長さんがちょうどお昼休みなので一緒に食事をしようと誘ってくれました。中国ではお昼休みは自宅に戻ったり、工場にある食堂で自分たちで料理を作ったりして、昼食をとるのだそうです。それで、工場の社長さんたちと一緒に食堂へ行き、いざ料理が運ばれてくるのを待っていると、並ばれるのは通常の中華料理ばかり。
一体どこに酢を使っているのだろうと考えている僕をよそに、めいめい料理を取り皿にとると、食卓にあった小瓶から何やらジャバジャバとかけ始めました。そうです、これが老陳醋だったのです。

中国の人たちは、酢の味の料理をよく食べるのではなく、油っぽい中華料理にさっぱりとした酸味のある調味料として、酢を豪快にかけて食べていたのです。確かにこの食べ方なら、毎食かなりの量の酢を消費するので、ポリ容器いっぱいに酢を買い求めるのも納得できます。
中国の人たちは、健康のために、こんなに毎食酢を食べているわけではありません。「ただ、美味しいから」というのが理由です。美味しいものを食べていたら、実はそれはとても体によいものだった、ということなのです。
お酢屋さんのご主人や、そこへ酢を買いにきた人たちは、とても生き生きとして健康そうでした。日本でもこの老陳醋のすばらしさで、生き生きと健康な人たちが増えてくれればいいなと思いながら、僕も出された料理に豪快に酢をかけていただきました。



